2017年6月8日木曜日

管理薬剤師の変更際に必要な申請

他店舗の管理薬剤師(管理者)の変更に係る申請をやる事になり、
勉強したのでまとめ。



●提出先:保健所(課名は福島県内のもの)

 <医療薬事課>
   体制省令     :変更届、使用関係証明書(管理者)、薬剤師免許証(提示)
   薬局機能基本情報 :変更報告書(福島県はオンラインのも)
   高度管理医療機器販:変更届、使用関係証明書(管理者)、薬剤師免許証コピー
   劇物毒物一般販売業:変更届、証書、診断書、誓約書、薬剤師免許証コピー
 
 <保健福祉課>
   自立支援指定(精神):変更届、管理薬剤師の経歴書、薬剤師免許証コピー
   自立支援指定(更生・育成):変更届、管理薬剤師の経歴書、薬剤師免許証コピー
 <健康増進課>
   被爆者一般疾病医療機:変更届


●提出先:厚生局

   保険薬局変更届


●提出先:労働局

   労災保険指定医療機関変更届、薬剤師免許証のコピー


●提出先:福祉事務所(市町村の地域福祉課)
   生活保護指定医療機関変更届




法律とかを調べたのが以下(お役所へ問い合わせもしたけど)
















管理者の変更って大変なんだね。

2017年2月22日水曜日

翌日の再検査でインフルエンザ陽性になるのはなんで?

インフルエンザの患者さんから、
「昨日検査をしたら陰性だったけど、
 インフルエンザっぽいから明日また来てと言われて受診したら、
 インフルエンザ陽性だった。なんで結果が違うの?」
と質問された。
 
偽陰性とか、日数経過によるウイルス量の上昇とか、
聞きかじったことで答えてみたけど
今後のためにお勉強してみようと思ったのでまとめ。
 
検体採取部位とか、キットの種類とかは、
専門外だし、薬局で患者さんから聞かれることはないのでスルー
 
1.陰性でも翌日陽性になるのはなぜか?
2.どの程度偽陰性が発生するのか?
 
の2点を調べてみた。
 
 
 
1.陰性でも翌日陽性になるのはなぜか?
 
インフルエンザの迅速診断キットは、イムノクロマト法が主流で、
検体のウイルス量が多い方が検出感度が上がることが推測できる。
 
  6時間未満 50.0%
    6~12時間 70.6%
  12~18時間 75.9%
  18~24時間 95.5%
  24~48時間 87.5%
  →出展記載なし
   pubmedなどで文献を探したけど私には見つけられなかった
 
  発熱後12時間以内に検査で陰性だった31名に
  12時間以降に再検査した所10名が陽性。偽陽性率29%
  12時間以降に陰性だった患者を再検査したら陽性は0だった
 
  発症からの時間による感度のちがいの表が書いてある
  12時間以降だと感度90%以上?
  参考文献の記載あるが、ネットで見つけられなかった。
 
  検体は、ウイルスの排出が最大となる発症後4-5日の間に採取
 
  富士ドライケムの開発でエスプラインと比較したデータ

(書いてあることを信用すると)
だいたい発熱から12~24時間経たないと、
感度が50-70%と添付文書表示(80-90%後半)より低くなるみたい。
 
発熱からの時間経過と共に感度が上がる(陽性が出やすくなる)、
という説明で患者さんには良いかな?
 
 
 
2.どの程度偽陰性が発生するのか?
 
有名なシステマティックレビュー
**************************************
P インフルエンザ様症状の人
I  インフルエンザ迅速診断キット(RIDT)
   (ウイルス抗原もしくは、ノイラミニダーゼ活性を利用した
    イムノクロマト法のもの)
C RT-PCR、もしくはウイルス培養
O 感度、特異度
 
<検索>
対 象:RIDTの精度を比較した試験
検 索:PubMed、EMBASE、BIOSIS、web of Science
言 語:英語、フランス語
その他:参考文献も調べた、メーカーへ未発表研究について連絡を取った
<試験選択>
1名が実施し、不確実な場合はもう1名とディスカッションを行い合意を形成した
市販前のデータと製品社内テストは除外した
<データ抽出>
2名で実施
1名がすべてのデータの抽出を行い、
もう1名は20%の22試験をランダムに選んでデータを抽出した
22件中、20件は2X2表の値が一致し、2件は値がわずかに異なった
<risk of bias>
<Outcome>
全体をプールした
感 度 62.3% ( 57.9% to 66.6% )
特異度 98.2% ( 97.5% to 98.7% )
**************************************
 
感度分析の表を見ると、感度は各キットでも差があり、
インフルエンザウイルスの型ではA型>B型で10%くらい違う。
スポンサーがメーカーだと感度も上がり、子供の方が感度高め?
あと、インフルエンザのシーズンではないときのほうが感度が高い傾向。
 
分かりやすくしてみると↓みたいな感じ?
診断薬の重要な基本的な注意に
「インフルエンザウイルス感染の診断は、本製品による検査結果のみでおこなわず、
 他の検査結果及び臨床症状を考慮して総合的に判断してください。」
と書いてあるのも納得? 事前確率が高いと陰性でも微妙な感じ。
 
日数経過に伴うウイルス量増加による感度上昇と
インフルエンザ流行期はと偽陰性も多いんだよということで患者さんの疑問は解決しそう。
 
今度、患者さんから質問されたら、上手く説明できると良いな。

2017年2月17日金曜日

抗凝血薬+抗血小板薬の出血リスクは1剤と2剤ではどのくらい違うの


他病院でステントを入れて、抗血小板薬2剤を飲んでいるところへ
リバーロキサバンが追加になったおばあちゃんが、
別件で薬局をご利用いただいた際に顔が真っ青だった。
(転んだらしい)

付き添いの家族も心配していたので、
「高齢で歩様も怪しいので、また転ぶかもしれない。あざもひどいよ」
的な情報提供書をDrへ出したけれど、
抗血小板薬は1種類じゃダメなのか?が気になったのでお勉強。

DOACはあまり見つからなかったので、ワーファリンの試験をよんでみる。

RCT
*************************************************
P 18歳-80歳の1年以上抗凝血薬を服用しているPCIが適応となる冠動脈閉塞のある患者
I   double-therapy:クロピドグレル75mg+ワーファリン(目標INR 2)
C triple-therapy:クロピドグレル75mg+アスピリン80-100mg+ワーファリン(目標INR 2)
O 出血エピソード
<割付>
1:1でランダム割付
配列はコンピュータで生成し、センターごとにブロック割付。
割付の隠蔽:封筒法
ベースライン:
<追跡>
ITT解析(フォローアップ98.3%)
1年追跡(中央値:365日、平均:358日)
1年後の治療継続率
 double-therapy
   ワーファリン  92.5%
   クロピドグレル 80.6%
 triple-therapy
   ワーファリン  91.2%
   クロピドグレル 78.9%
   アスピリン   66.5%
<盲検化>
オープンラベル
<Outcome>
出血エピソード 
 double-therapy   54 / 279 (19.4%)
 triple-therapy  126 / 284 (44.4%)
 ハザード比 0.36 (0.26 - 0.50)
*************************************************
データベース解析のコホート研究
*************************************************
P 2001/1/1~2011/12/31の期間に
  心筋梗塞またはPCIで入院した心房細動患者
E ビタミンK阻害薬 and/or 抗血小板薬(1種類 or 2種類)
C ビタミンK阻害薬
O 有効性:心筋梗塞死・心血管死、致死性/非致死性の血栓症
  安全性:致死性/非致死性の出血
<データベース>
デンマークの全国的なEHR
<追跡期間>
平均3.3年
<脱落・マスキング>
データベース解析のためなし
<交絡因子調整>
年齢、性別、組入年, 心筋梗塞/PCIの状態、
薬物治療、CHA2DS2-VAS、HAS-BLEDスコア
<Outcome>
出血(無調整)
VKA       3.9 (3.3–4.6) /1000人年
VKA+A+C 10.1 (6.8–14.9) /1000人年  調整HR 2.81 (1.82 - 4.33)
VKA+C    7.0 (4.4–11.3) /1000人年   調整HR 1.84 (1.11 - 3.06)
VKA+A    5.2 (4.7–5.8) /1000人年   調整HR 1.50 (1.23 - 1.82)
※VKA:ビタミンK阻害薬、C:クロピドグレル、A:アスピリン
*************************************************
出血イベントは、当たり前だけど抗血小板薬2剤>1剤。
コホートの方が発生率は低め。
抗血小板薬2剤の方が1剤に比べて、死亡率も高そうなのは意外だけど、
RCTでもデータベース解析でも同じような傾向。
情報提供にプラスαして、
一緒にHAS-BLEDスコア(高齢、抗血小板薬併用、出血エピソードで3点)を記載したり、
何かしらのエビデンスを参考としてつけた方がより良かったのかも知れない。
あと、リバーロキサバンでこんなんもあるけど全文は見れない。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/27959713

2017年1月17日火曜日

アムロジピンで歯肉肥厚はどのくらい起こるの?

ARBとアムロジピンの配合剤で、
歯肉炎のため処方変更になった患者さんがいた。

ニフェジピンで歯肉肥厚は有名だけど、
アムロジピンをはじめ他のCa阻害薬はどうなのかな?
と気になったので調べてみた。

 
 
全文読めないけど、
J Periodontol. 1999 Jan;70(1):63-7. ニフェジピン6.3%、アムロジピン1.7%
J Periodontol. 1997 Jul;68(7):676-8. アムロジピン3.3%
と記載されていた。

 
ちょうど日本語で良いのがあった。
 

*****************************
<対象>
日本大学歯学部口腔外科へ1991年~2007年に受診した
Ca阻害薬を3カ月以上服用している患者さん
<診断>
原因薬物中止後の歯肉過増殖の消失、もしくは重症度の低下で確認
<結果>














(商品名は追記した)
*****************************
歯肉肥厚=ニフェジピンは間違いないけれど、
アムロジピンでも1%程度は起こるみたい。
 
 
普段仕事をしていても処方量の割には見かけないような気がするのは、
気にならない(もしくは、気にしない)人が多いから?
今度から、交付時に聞いてみようかな。

2016年12月29日木曜日

SORT(推奨の強さの分類)ってなに?

一昨日のを読んでて、SORTってなんだ?と疑問に思ったので調べてみた。
 
Strength Of Recommendation Taxonomy:推奨の強さの分類
ということで、↓が元文献とのこと。
 
 
 
************************
<推奨の強さ>
A 一貫性があり、質の高い患者指向のエビデンスに基づいた推奨
B 一貫性がない、もしくは限界のある質の患者指のエビデンスに基づいた推奨
C コンセンサスや慣習的な方法、意見、症状指向のエビデンス、
  ケースシリーズ(診断、治療、予防、スクリーニング)に基づいた推奨
 
<研究の質>
 






 
<一貫性>
一貫性がある ほとんどの試験が類似したもしくは、少なくともまとまりのある結果を示す
       質の高い最新のSRやメタアナリシスが存在し、推奨を支持するような内容
一貫性がない 試験結果の間にかなりの相違があったり、まとまりが欠如している
       質の高い最新のSRやメタアナリシスが存在するが、
       推奨を支持するような一貫性のあるエビデンスがない。
************************
 
エビデンス質と推奨の強さを決める為の指標の一つのみたい。
文中にbody of evidenceという単語も出てくる。
 
文中の ~ Oriented Outcomes (Evidence) は、
患者指向のエビデンス=真のアウトカム
症状指向のエビデンス=代用のアウトカム
という意味合いみたい。
 
 
2004年の出版であるし、
最近のシステマティックレビューの推奨やエビデンスの質は、
だいたいGRADEで記載されることが多いみたいだから、
あまり使うことはないのかもしない。

2016年12月28日水曜日

胃全摘後の貧血にメコバラミン錠の内服は有効?


胃全摘後の貧血に
メコバラミン錠500μgが処方されるのをたまに目にするんだけど、
ビタミンB12は胃の内因子が吸収に必要だから、
飲んでも意味ないんじゃないの??と疑問に思ったので調べてみた。
(今さらだけど)

メルクマニュアル:ビタミンB12
内因子が欠如していても、
1000μgとかの大量服用だと吸収されると書いてあった。

日本人の食事摂取基準(2015年版)
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/0000041824.html
によると、1日の推奨摂取量は2.4μg/日。
大用量(500μg以上)の場合でも、
内因子非依存的に投与量の1% 程度が吸収されるだけとのこと。


1%も吸収されるのであれば、
1日1錠で十分じゃないか?と思ったけど、
3錠X3で処方されることが多いので、他も調べてみた。
******************************************
P 悪性貧血の患者
I  ビタミンB12の経口摂取
C ビタミンB12の筋肉注射
O 血清ビタミンB12
<検索>
対 象:?
検 索:PubMed(1980/1/1-2016.3.31)
言 語:英語
その他:参考文献も調べた
<試験選択>
RCT2件、前向き研究3件、SR1件、症例報告6件
<データ抽出>
<risk of bias>
SORT(strength of recommendation taxonomy)
<Outcome>
血清ビタミンB12
 Kuzminsk オープンラベルRCT(ビタミンB12欠乏患者33人)
   経口2000μg 643 ± 328 pg/mL(2カ月) 1005 ± 595pg/mL(4カ月)
   筋注1000μg 306 ± 118 pg/mL(2カ月)   325 ± 165 pg/mL(4カ月)
 Bolaman オープンラベルRCT(ビタミンB12欠乏による巨赤芽球貧血患者60人)
   経口1000μg 213.8 pg/mL(90日)
   筋注1000μg 225.5 pg/mL(90日)
******************************************
上記では、
1日1000μgの内服を注射薬の代わりに推奨している。
SORTは良く分からないから、別に調べてみようと思う。
レビュー中のBolamanというのも読んでみようと思ったので、下。
******************************************
P 16歳以上のビタミンB12欠乏(血清コバラミン<160 pg/mL)の巨赤芽球貧血患者
I  20mLのフルーツジュースにコバラミン1000μgを添加して経口摂取
  10日間連日→週に1回を4週→月に1回
C ビタミンB12の筋肉注射
  10日間連日→週に1回を4週→月に1回
O ヘモグロビンレベル、貧血症状
<割付>
ブロックランダム化割付
隠蔽化は記載なし
ベースラインは男女比は異なるが、他はだいたい同じ?
<盲検化>
オープンラベル
<解析など>
ITTではない(コンプリートした人のみ)
脱落率 10/70 = 14.3%
サンプルサイズの算出方法は不明
<Outcome>
ヘモグロビンレベル(g/dL)
 経口 Day0:8.4 (sd 2.1) → Day90:13.8 (sd 0.7)
 筋注 Day0:8.3 (sd 2.3) → Day90:13.7 (sd 0.9)
血清ビタミンB12(pg/mL)
 経口 Day0:72.9 (sd 54.8) → Day90:213.8 (30.2)
 筋注 Day0:70.2 (sd 59.1) → Day90:225.5 (40.2)
******************************************
メコバラミン錠の内服でも
悪性貧血の改善には効果があるみたい。
3TX3で飲む必要があるのかは疑問だけど。

そういえば、ビタミンB12って水溶性だこら過剰症はないんだっけ?

2016年10月1日土曜日

Delphi listってなに?

システマティックレビューを読んでいて分からなかったので、お勉強。その2。

Delphi listというのが、分からなかったので調べてみた。
システマティックレビューでRCTのリスク評価に使用するリストみたい。
詳細は↓
リストの内容としては、
1.割付
 a.ランダム化割付されているか?
 b.割付は隠蔽化されているか?
2.重要な予後指標について各群のベースラインは同等か?
3.適格条件は、明記されているか?
4.アウトカム評価者は盲検化されているか?
5.治療者は盲検化されているか?
6.患者は盲検化されているか?
7.プライマリアウトカムの点推定値と変動性(バラツキ)について記載があるか?
8.解析はITT?

1998年に作成されたチェックリストとのこと。
良く見かけるコクランのrisk of bias ツールは、
1.Random sequence generation
2.Allocation concealment
3.Blinding of participants and personnel
4.Blinding of outcome assessment
5.Incomplete outcome data
6.Selective outcome reporting
7.Other bias
なので、コクランの5、6はDelphi listに含まれていないけど、
かぶっているところ所も多いね。